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文章作成の手順⑤ 作文例と講評



 課題例:「じっと手を見る」(中学部)

 例① 私は自分の手をじっと見ていた。爪の形が母そっくりだ。おかしくなってしまう。人間とは不思議な生き物だ。(中略)親子には血のつながりがある。そして、他人同士にはない強い力が働く。
 例② じっと手を見ると、さまざまな思いが頭に浮かんでくる。父の仕事の関係で、ぼくはたびたび別れを経験した。そして涙した。その涙をぬぐったのは、ぼくの手である。そのたびにぼくの手は強くなった。そしてぼくの心も強くなった。

 どちらが良い文章だと思いますか。下線部が両者の違いを示しています。①は手を観察して(取材)「そっくり」であることを発見しました。これが作文の基本姿勢です。②は手を見てすぐ「思い」を巡らせています。作文の上手な人に多いのですが、感想が先に立つのです。それで「涙をぬぐう手」という、うまい「構想」につながります。「別れ」という経験も涙の材料ですね。
 このような身近に題材のある課題は、とっつきやすい半面、安易な言葉で書いてしまいがちでもあります。たとえば「手をつなぐ」などというありふれたイメージに結び付きやすいからです。じっさい、①も②も、「(心が)強くなる」という感情的な結語にいたります。中学生としてはそれはたいへん健全な感情だと思いますが、高校生なら、もう少し掘り下げて、たとえば手は文字通り手段であるというような、手をモノとして見れば、今日のIT技術への考察にもいたるかもしれません。
 いずれにしても、ここでは文章はまず、デッサン(よく見て書くこと)が大切であることを知ってください。
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