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二、文章表記10則(1,2) [講座]

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 みんなが共有すべきことをルールといいますが、文章を書く際も基本的なルールがあります。その一つが「原稿用紙の使い方」のルールです。近頃はこのパソコンのように、機械の助けで容易に文章が書けるから、このルールを無視する人が多くなりました。そもそも文章なんて自由に書けばよいというのも、そのとおりでしょう。しかし、自由の前にルールを守ることは、他の社会行動と同じです。
 他人に読んでもらう文章は、わかりやすさが基本です。そのために今回は最低限の「表記10則」をご紹介します(筆者のオリジナルですが参考にしていただければ幸いです)。

1.原稿マス目の使い方(実際例は事項で学んでください)
(a) 1文字1マスが原則。テン(、)マル(。)も、「 ( など符号も1マスずつ(例外は次のb
にあります)。これはタテ書きヨコ書きとも同じです。この癖(習慣)がつくと、マス目のない無地の用紙でも字配りなどできれいな書き方ができますよ。
(b) <例外>マルとカッコは  。」のように1マスに同時に入れます。横文字(英文など)は2文字で1マス、ダッシュ(ー)やリーダー(・・・)・・・は2マス使います。
(c) また、句読点、 カッコの締めは行(ギョウ)の頭に使わず前の行の末尾の文字と同じマスに入れます。
(d) 段落(文章の書き出しも)の頭は1マス空けます。
(e) 会話文は「 」で示しますが、小説などのように会話のやりとりが連続する場合は、「 」ごとに行替えをしますが、私たちの一般の文章では地の文中に挿入しても構いません。なお、引用や注釈の場合も文中で「 」や( )を使います。

2、かな書きの原則
 最近はクイズばやりで難解な漢字を読ませたりしますが、「常用漢字」しか教えてこなかった(入試用に熟字訓など一部の常用外漢字も教えましたが)私の読めない書けない漢字がしばしばあります。その多くは意味読みまたは当て字です。歌謡曲の歌詞にもそうした傾向(難字はありませんが当て字が多いです)がありますが、学校では出題されませんのでご心配なく。
 漢字は「表意文字」だから、意味を伝えたいときは少々難しい漢字でも私はつかいます。「表音文字」である仮名は、その音感を大事にします。そこで、次の語はなるべく「かな書き」にするほうがよいという項目を列挙しました。(この原則は、多くの新聞社・出版社が採用しているもので、入学・入社の試験作文・小論文の採点基準にも合致するものです。)

(a) 形式名詞(仮名にするべきもの) 
 例:~の 事(こと)、~という物(もの)、その通り(とおり)・内(うち)・為(ため)、そういう所(ところ*場所ではない)、その時(とき*時間ではない)
(b) 補助用言(動詞や形容詞)
 例:~して見る(みる*目で見ない)、~と言う(いう*言葉で言わない)この2つの誤用が多いですが、~して来る(くる*行き来ではない場合)、~して下さい(ください*モノでない場合)も本来はかな書きが正しいのですが、最近は多くの人がつかっていますね。また、形容詞の~して無い(ない*モノが無いのではない)も誤用にあたりますが、~して欲しい(ほしい*モノを欲するわけではない)の用例は、最近マスメディアで容認されているようです。
(c) 接続詞・副詞
 例:又・但し・及び・故に・従って(以上接続詞)、全て・余程(副詞)など、いずれも漢字の意味合いに合わないから仮名がよいとされますが、aやbほどの問題ではないでしょう。
(d) 代名詞・連体詞・接尾語
 例:誰・彼・僕・私、此れ、或る(或る日)、~達、~等  これは現在ほとんど許容されています。私もごらんのとおり私と書いております。また、時(これは漢字)と場合によってはつかいます。
(e) 助詞・助動詞
 例:~迄・位・程・~の様に(ように)、~風に(ふうに)、 あとの2つは守ってもらいたいですが、前3つは一般によくつかわれますね。
 以上、少なくともa~cは入試で出題されますので要注意です。ちなみに、あの文豪、夏目漱石はこれらは一切無視(もっとも当時はこんな基準はありませんでしたが)、ほかの言語でも、漢字で書けるものなら当て字でも何でも漢字にしてしまう豪の人でしたよ。(つづく)



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文章作成の手順⑤ 作文例と講評



 課題例:「じっと手を見る」(中学部)

 例① 私は自分の手をじっと見ていた。爪の形が母そっくりだ。おかしくなってしまう。人間とは不思議な生き物だ。(中略)親子には血のつながりがある。そして、他人同士にはない強い力が働く。
 例② じっと手を見ると、さまざまな思いが頭に浮かんでくる。父の仕事の関係で、ぼくはたびたび別れを経験した。そして涙した。その涙をぬぐったのは、ぼくの手である。そのたびにぼくの手は強くなった。そしてぼくの心も強くなった。

 どちらが良い文章だと思いますか。下線部が両者の違いを示しています。①は手を観察して(取材)「そっくり」であることを発見しました。これが作文の基本姿勢です。②は手を見てすぐ「思い」を巡らせています。作文の上手な人に多いのですが、感想が先に立つのです。それで「涙をぬぐう手」という、うまい「構想」につながります。「別れ」という経験も涙の材料ですね。
 このような身近に題材のある課題は、とっつきやすい半面、安易な言葉で書いてしまいがちでもあります。たとえば「手をつなぐ」などというありふれたイメージに結び付きやすいからです。じっさい、①も②も、「(心が)強くなる」という感情的な結語にいたります。中学生としてはそれはたいへん健全な感情だと思いますが、高校生なら、もう少し掘り下げて、たとえば手は文字通り手段であるというような、手をモノとして見れば、今日のIT技術への考察にもいたるかもしれません。
 いずれにしても、ここでは文章はまず、デッサン(よく見て書くこと)が大切であることを知ってください。
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(主題から推敲まで) [講座]

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① 主題と構想
 これは書く前から考えることです。したがって、あなたも「なにを」書くのか、いちばん書きたいことを「下書き」し、または「メモ」します。主題をもつということは、常から自分の考えをもったり、生き方を考えたりするところから生まれるもので、付け焼刃(その場の思い付き)では、優れた読み手(採点者など)にはすぐ見破られます。
 中学・高校生には、いますぐ主題をもてというのは酷ですが、少なくとも、与えられた課題を前にしたときは、その課題のうち「なにを中心に」書くのかを決めなければなりません。それが決まれば、その主題に沿った考えが巡ってきます。それが構想です。ああでもない、こうではないか、などという内心の言葉をフローチャート(考えの流れ=フロー)で図示またはメモしておきます。

② 材料と取材
 書くためにはその基になる「材料」「資料」「道具立て」が必要です。これをネタといってもいいですが、話のネタなどと軽く扱ってはいけません。特に、小論文など説明的な文章では、「根拠」や「理由」がなければ、文章の説得力に欠けることになります。
 プロの書き手はネタ受けを狙い、とっておきの材料を探してきます。取材力のある作家に多いですが、学生の諸君はマネできませんし、してはなりません。むしろ肝心なのは、日ごろからの読書です。あるいは人の話をきいたり自分で調べたりして教養を深めることです。それらはみな「取材」に当たります。

③ 構成と叙述
 「構想」(考え)を形にするのが「構成」です。よくテレビの番組でも、構成だれだれというスタッフ紹介があります。いわば番組の進行表を作る人ということですが、文章作成もこの構成によって「はじめ・なか・おわり」の流れができ、叙述(書く動作)につながるのです。
 できれば「構成表」のようなものを作って、「何を・どのように」(主題と方法)書くのかを自身で納得するようにします。また長い文章を書く場合、構成表は前後の対応の確認(前後で矛盾していないかなど)にもなります。
 過去の著名な作家の書き込みノートなどが発見され、文章作りに苦闘するありさまが窺えたりしますね。あなたもせめて「下書き」の苦労を重ねてくださいね。

④ 最後に推敲する
 門を押したり(推す)叩いたり(敲く)するように、よりよい文章(間違いはないか、わかりやすいかなど)にしていくのが推敲です。一字一句見直す人や、ざっと目を通すだけの人など、書き手によってまちまちですが、慣れない人は、指で文字を追うように丁寧に見直してください。(詳しくは次章の「表記」編で説明します。)
 私は、どんな文章でも、たとえ手紙でも、下書きと推敲は欠かしません。相手に読まれたら取り返しができないから(笑い)、むろん、読者の前に編集者がいる場合は、書き直しができますが。推敲とはつまり、「書き手」から「読み手」の立場になることを意味します。
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第一章 文章入門/基礎編 [講座]


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 ものごとの動作や現象には、おおざっぱに言って「はじめ」「なか」「おわり」の順序がありますね。
文章を書く人も読む人もそういう順序に従っているはずです。ここで大事なことが一つ、読む人が読みやすい文章を書くことです。
 世の中には難しい文章がなんと多いことでしょう。書く人が一方的に難しく書いているからです。それがいいと、あるいはそれが高邁な文章であると錯覚しているのです。
 小学生から高校生までを悩ませる(いえ教師だって悩む)国語や社会の入試問題も、わざと難解な文章を出題しているとしか思えないものもあります。
 といっても、それらの文章にも順序があるはずです。おおまかに言えば、次のような手順で文章は成り立っています。
 1.主題と構想、2.材料と取材、3.叙述と構成、4、最後に推敲と清書 これらについて簡単に説明しておきます。
(つづく)
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