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続・表現のテクニック Ⅳ~Ⅵ [講座]

 Ⅳ 諷喩
 <寓喩>または<アレゴリ>とも呼ばれます。比喩のところの例でいえば、「炎」の語がそのまま「情熱」を表す。つまり、比喩する語(炎)と比喩される語(情熱)を文字の上で結ばなくても、炎だけで情熱を「ほのめかす」という技法です。
 また<風刺>や<皮肉>の表現にも多く、「サルも木から落ちる」など、ことわざや格言にも用いられています。さらに、「イソップ物語」のように、作品全体が諷喩になっている場合もあります(昔話など)。他に<象徴(法)>も同じ手法です。

 Ⅴ 声喩
 いわゆる<オノマトペ>と呼ばれるもので、次の2つに分けられます。
 ❶擬声語 ものの音を感覚的に模写する(「擬音語」とも)。
 《例》ドンドンと戸を叩く。 風がヒューヒュー鳴る。
 ❷擬態語 ものの動作や状態を、いかにもそれらしく短い語で表す。
 《例》のろのろと歩く。 雪がふんわり降ってくる。

* 便宜上、❶をカタカナに❷をひらがなにしました(以前はそういう「きまり」があったのですが、必ずしも守られていませんが、私は両仮名の特徴がよく表れているので区別して表記しています)。
しかし、「どたばたと忙しい」「サラサラ流れる」のように、どちらの仮名にするか迷う場合があります。それは、状態を表す語でも音声的な感覚をもつ場合です。「ドタバタ」「さらさら」としても一向に差し支えありませんよ。

 Ⅵ 倒置(法)
 文の成分(主語・述語・修飾語など)の位置(順序)を入れ替える表現法。「黒い物体が落ちてくる」という文は、主語+述語ですが、「落ちてくる、黒い物体が」と述語+主語にすると、「黒い物体」を強調したり印象付けたりすることができます。「落ちてくる黒い物体」といえば、<体言止め>になります。他の成分でも倒置はあります。
 《例》「物体だよ、黒い」(述語+修飾語)「黒い物体です、はい」(修飾語+述語+独立語)

 Ⅶ 対句(法)
 対になる語、対になる節や文、対になる部分を並べて、ある効果を表現したりリズム感を生み出したりします。
 《例》「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む」(三好達治の詩より)の場合、「太郎」と「次郎」が対句になっていますが、文脈の前後も繰り返しになっていますね。これを<リフレーン>といい詩ではよく用いられます。これによって読者は思い思いに想像することができます。太郎と次郎は同じ家にいるとか、いや隣り合っているとか。

 以上で「修辞法—テクニック」は終わりますが、文章はあくまで内容が第一なので、テクニックや形式にこだわることなく自分流を貫くのも一つの方法です。また、最近は活字媒体以外の分野が発展して、そこには奔放な表現や意外性のある表現もよく見られます。人の手になる文章は人の数だけ表現があるといってもいいのではないでしょうか。(この項終わり)

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一、表現のテクニック(修辞法)Ⅰ~Ⅲ [講座]

 7つの表現テクニック

 一般的によく用いられる表現技法は、次の7つです。あなた方も知らず知らず使っているのがあるかもしれませんね。

Ⅰ 強調(法)

① 反復(同じ言葉の繰り返し、リフレーン)詩に多く見られます。
② 詠嘆(「ああ」など感情を込めた表現)詩や劇のセリフに多いです。
 これらは安易に用いると通俗で単調で、かえって逆効果になるから一般の文章には不向きです。詩や劇、歌詞などに多いのは、主観的な感情の吐露や余情・余韻を残して読み手に共感を呼び起こすからです。

《例》1.汚れちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる
     汚れちまった悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる
                           (中原中也『汚れちまった悲しみ』より)
   2.雨の中に馬がたっている 
     一頭二頭子馬をまじえた馬の群れが 雨の中にたっている
     (中略)
     彼らは草をたべている
     草をたべている
                           (三好達治『大阿蘇』より)
   1は、用語の特異な詩人ですが、七五調のしらべが「悲しみ」をきわだたせていますね。
   2は、リフレーンの連続によって時間が止まったような永遠性がかんじられます。

Ⅱ 比喩法

① 直喩(または明喩、AはまるでBのようだ、の形。「まるで」の類語に「さながら」「あたかも」「いかにも」「~のごとく」などがある。)
《例》まるで炎のような情熱であった。 その情熱はさながら炎のごとく燃え盛った。

② 隠喩(または暗喩、AはBだ、の形。メタファーと呼ばれる)。
《例》炎の情熱。 情熱は炎と化した。(この場合、炎は「暗示」であり「象徴」でもある。)
 
 いずれもAとBとの関連性、連想が書き手の感性や表現の技巧によります。したがって、小説家の文章の大きな特徴にはなりますが、一般の文章には必ずしも必要ではなく、学生諸君が初歩から使えるテクニックではありません。
 村上春樹の小説に次のような表現があります。みなさんはどう思いますか。
 「相手の女は農具を入れる納屋並みに頑丈にできている」(『アフターダーク』より)
 これは直喩でもあり(「並みに」=のように)、隠喩(A女=B納屋)のようでもありますね。その心は「頑丈」というのですから、ひどい言い方(笑)ですね、あるいはうまい表現と言うべきでしょうか。もっとも崩れやすい納屋だってありますがね。

Ⅲ 擬人法
 国語を習い始めて最初に出てくる表現の方法ではないでしょうか。むしろ小学校に上がる前から、絵本や御伽噺などで慣れ親しんでいるのですから。
 これは比喩の一種で「活喩」とも呼ばれ、その名のとおり、人間以外のもの(生物であれ物質であれ)を人間のように生き生きと再生させる表現法です。童話や童謡などでも擬人法は子供たちに訴える力が強いですが、一般的に用いるとき、稚拙な印象を与えかねませんから、安易に用いないほうがいいかもしれません。
 《例》「歳月、人を待たず」などの名言には感心しますが、たとえば、「石が笑う」など奇抜な表現には、同感を得るか否かが問題ですね。

 なお、人のように表現するのが擬人法であるのに対して、逆に人をモノに擬(なぞら)えるのを、<擬物法>と称する場合があります。「あいつは操り人形だ」という場合、隠喩でもあり擬物法でもあるわけです。

 《問題》では、「吾輩は猫である」というのはどうでしょうか、考えてみてください。
 「吾輩は猫のようである」といえば直喩、その意味で「吾輩は猫である」といえば形の上では隠喩ですが、この小説のように「猫の視点」で物語が描かれるのですから、「擬人化」された猫から人間社会を覗いた<風諭>(次回)ともとれます。




 

 


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第三章 表現編 [講座]

 この文章講座は、おもに<初心者の入門書>として、また<中学・高校生の学習>の一助にと始めたものです。もとより読んですぐ役立つものではありませんし、内容を網羅したものでもありません。一言でいえば、文章の上達には、他の習い事と同様<実践あるのみ>です。
 特に前回の「表記10則」と今回の「表現技法」については、私の過去の授業を要約したもので、黒板に書いた項目を踏襲するものです。皆さんが実際の文章作成するおりに、これらの項目に照らし合わせて<推敲>する目安にしていただきたいというのが本意ですので、どうぞよろしくご活用ください。(講師)

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共通テーマ:学問

《資料―敬語の種類と使い方》 [講座]

 文化審議会は「敬語の指針」を発表し、これまで「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」に分類されていた敬語を次の5分類に改めるとした(2007.2.2朝日新聞より)

① 尊敬語(従来と同じ)相手または話題の人物の行為・物事・状態などについて、その人物を立てて(敬って)述べる言葉。<相手の行為などを表す>
 例:いらっしゃる(来る・いるの尊敬語)、おっしゃる、なさる、召し上がる、ご住所、おいそがしい、(立てるべき相手からの)お手紙
 謙譲語Ⅰ 自分側から相手側または話題の第三者に向かう行為・物事などについて、自分がへりくだることによって相手の人物を立てる言葉。<自分の行為などを表す>
 例:申し上げる、伺う(訪問する)、お目にかかる、ご案内する、(立てるべき相手への)お手紙
③ 謙譲語Ⅱまたは丁重語 自分側の行為・物事などを、話や文章の相手に対して丁重に述べる言葉。*Ⅰのような特定の相手がいない場合も用いる。
 例:申す、いたす(する)、おります、拙著(自分の書いたもの)、小社(自分の属する会社)、参る(行く~特定の相手にも)*「伺う」は人に、「参る」は人にも場所にも用いる。
④ 丁寧語(従来と同じ)話や文章の相手に対して丁寧に述べる。
 例:です、ます、ございます、存じます
 美化語 従来の丁寧語から独立、物事を美化して述べる。
 例:ご飯、お酒、お料理、おなか、(一般的にいう)ご住所、お手紙

 では問題
 次の「お手紙」は上のどの種類によるか。
 1.お手紙を差し上げます。 2.お手紙、拝見しました。 3.お手紙にもいろいろあります。
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   (次回から第三章ー表現編にはいります。)
  
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レッスン [講座]

1.次の文中にある音便の種類を答えなさい。
 急いで行ってみると、驚いた。昨夜あれほど元気に泳いでいたのが、三匹とも腹を返して浮かんでいる。もうだめだと思った。
2.次の各文中の<呼応の副詞>に―線をつけ、( )に合う(呼応する)言葉を書きなさい。
 ア、まるで雪の(  )な白さだ。
 イ、よもや失敗し(  )。
 ウ、なぜ行かない(  )。
 エ、少しも仕事が(  )。
 オ、そんなことは断じて(  )。
3.次の副詞を、A、擬声(音)語 B、擬態語 C、その他に分け記号で答えなさい。
 ・まさか ・ひらひら ・ゆっくり ・もっと ・ガンガン ・はっきり ・にょきにょき
 ・チラチラ ・はらはら ・ぱっと
4.次の各文にある接続詞の働きを後の語群から選んで、記号で答えなさい。
 1、ゲーセンに行こうか、それとも、コンビニに行こうか。
 2、まっすぐ突き当たり、それから右へ行け。
 3、痛みがとれた。だが、まだ安心できない。
 4、授業は終わり。では、雑談しましょうか。
 5、いいかげんに処理する。つまり、責任の放棄だ。
 6、主役が欠席した。したがって、この会合は中止だ。
 7、彼は名選手である。しかも優等生である。
 《語群》
 ア、並立・添加 イ、順接 ウ、逆接 エ、説明・補足 オ、対比・接続 カ、要約・換言
 キ、転換

5.次の傍線部を正しい尊敬語に直しなさい。
 a どうぞ心行くまでいただいてください。
 b 父母会で校長先生が申されました。
 c あなたは何にいたしますか。
6.次の傍線部を正しい謙譲語に直しなさい。
 a お父さんが直接お願いに来ます
 b 文集ができましたら、先生に見せてあげます
 c しばらく休みをとりますので、どうぞよろしく。
7.次の各文中で敬語の誤りがあれば、線を引き直しなさい。
 a 先生の本を読ませてもらいました。
 b とんでもございません、私こそ失礼しました。
 c ボーナスは当銀行へお預けなられますよう、お勧め申します。

《解答例》
 1.<い音便>急ぎ→急い・で  驚き→驚い・た  泳ぎ→泳い・で  
   <促音便>行き→行っ・て  思い→思っ・た  
   <撥音便>浮かび→浮かん・で
 2.ア、まるで~よう・な  イ、よもや~まい(ない・だろう) 
   ウ、なぜ~のか(のだ) エ、少しも~はかどらない(~ないと否定する形)
   オ、断じて~許さない(~ないの形)
 3.(順に)C B C C AまたはB C B AまたはB B B
 4.1・オ 2・イ 3・ウ 4・キ 5・カ 6・イ 7・7・ア 
   *エには「ただし」「たとえば」などがある。
 5.a 「いただく」は謙譲語、「食べる」の尊敬語は「召し上がる」、「見る」なら「ご覧
   ・ください」 b 「申す」は謙譲語(5種類では「丁重語」の場合も)、尊敬語は「おっし
   ゃる」    c 「いたす」は謙譲語、「する」の尊敬語は「なさる」
 6.a. 身内に「お」(尊敬語または美化語)は用いない、「父が」とする。「来ます」は単なる
   丁寧語、ここは謙譲語で「参ります」または「伺います」とする。 b. 「見せる」の謙譲語
   は「お見せする」または「ご覧いただく」。 c. 自分が休みを「とる」場合は「とらせて
   いただく」か「休ませていただく」。
 7.a.相手(目上)に属する事物には「ご本」(尊敬語)とする。「読む」の謙譲語は「拝読」
   を使いたいが、「読ませていただく」でもよい。
   b.「とんでもございません」はよく間違って使われていますね。これは「とんでもない」という    一語(形容詞)を「とんでも」と「ない」に分離し「ない」を丁寧に言うつもりで「ございません」と置き換えたための間違いです。正しくは「とんでもないです」「とんでもないことでございます」。
   c.「お預けになられますように」は、お預け+なられるの二重敬語でそもそも間違いですが、なおかつ一見丁寧なようですが(敬語の間違いは丁寧過ぎることにあるようです)、「預けなさい」と言われているようで、じつは丁寧ではなく押しつけがましいですね。ここは銀行側の立場から「お預けいただきますよう」「是非お預けくださいますよう」などと、ヘリ下るほうがいいでしょう。
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(次回は<補講として>「敬語の使い方」を特集します)

   




 
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三、ことばはいきいき―日本語の美しさ [講座]

 プロローグ
 次の1~3について答えなさい。
 1、「日本は良い国ですか、悪い国ですか」と問われたら、次のうちどれを選びますか。
  ア、良い国です。 イ、良い国ではありません。 ウ、悪い国ではありません。 
  エ、悪い国です。

 2、A ぼくはテストでよく努力しました。( )、クラスで五番でした。
   B かれは優等生だ。( )、ぼくはかれが嫌いだ。
  A、Bの文の空欄に「しかし」または「だから」のどちらかを入れなさい。

 3、「吾輩は猫である」と「吾輩が猫である」との違いを説明しなさい。

 《答え》1、答えはどれであってもいいですが、日本人は「断定」するのが得意ではありませんね。あなたはどうですか。アとエは断定、イとウは否定する言い方です。 2、Aは立場によって<順接>の「だから」、<逆接>の「しかし」共に用いますね。Bは一般の通念では<逆接>の「しかし」が入りますが、通念に反して通念「だから」を用いるのは、一面の真理を含む<逆説>や<皮肉>という表現法になります。 3、前項の「雑談」を参照してください。ちなみに、「は」は他と区別する<副助詞>で、犬ではない猫を強調します。「が」は主格を決める<格助詞>で、彼ではない吾輩を強調します。

《特別な語法―解説》
① 五段活用の動詞の連用形が「て・た・たり」に続くと、<音便>になります。<イ音便>は「書く」→「書いて」、<促音便>は「走る」→「走った」、<撥音便>は「飛ぶ」→「飛んだ」
(撥音便は「で・だ・だり」と濁る)
② 形容詞には<ウ音便>があります。「ございます・存じます」に続くとき、言いやすいように「美しく」→「美しゅうございます」、「ありがたく」→「ありがとう存じます」などとなります。
③ 状態を表す副詞<状態副詞>は、ア「たちまち消えた」、イ「風がピューと鳴る」、ウ「のっそり歩く」などですが、イのような副詞を<擬声語(擬音語)>、ウを<擬態語>といい、合わせて<声喩>、外来語で<オノマトペ>といい、感覚的な<比喩>の一種です。
④ <接続詞>は、前を受ける働きと後を誘導する働きをもち、前後の関係を示す品詞です。中でも、「プロローグ」にもあるように、順接の「だから」「したがって」(原因と結果)と逆接の「だが」「しかし」(逆の結果)は、作文・小論文では重要な働きをします。
⑤ <敬語>には大枠で次の3種類があります(近年5種類に再編―後述)。
 1 <丁寧語>(文体では<敬体>といわれます)「ます」「です」「ございます」など。
 2 <尊敬語>相手やその関係者(や物)の動作や状態や事物を敬う言い方。
 3 <謙譲語>自分や自分に関わる者(物)について、へりくだることによって相手を高め敬う言い方。これらは日本語の最も特徴的な話法・記述法で、近年に増補されるものを含めて、章の終わりにまとめます。

(レッスンへつづく)
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雑談の時間/吾輩は漱石である [講座]

 助詞「は」と「が」

 吾輩は漱石である
 吾輩が漱石である
 どちらが正しいか、というとどちらも正しい。では、漱石先生なら、どちらをとるか。ウム? 「は」と「が」、そんなこと考えるのはバカらしい? が、考えなければ気が済まないという人に。「が」は格助詞で「は」は副助詞(係助詞とも)。素っ気ない答えである。大野晋(国語学者)の説は、最初に話題を示すときに「が」を用い、その後は「は」を用いることが多いことから、「が」は未知の情報を示し、「は」は既知の情報を示す、という。たとえば、「山『が』あるから登る。その山『は』高いほどよい」とつかう。ところが、初めに「は」をつかう例もある。たとえば、「象『は』鼻『が』長い」など。これについて作家の井上ひさし(故人)が、「は」はロング(遠景)、「が」はアップ(近景)だと、おもしろい見方をしている。大主語「は」対小主語「が」ともいえる。
 あなたはだれだと聞かれて、「私が三四郎だ」とは普通答えない(状況によっては答えうるが)。そこで表題に戻って、「吾輩は」「吾輩が」、どっちにする? <了>

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《レッスン》 [講座]

1 次の「漢語」を「和語」に書き換えなさい。例:旅館=宿屋・はたご など
 a 人格  b 憧憬  c 頑健  d 放浪  e 災禍
2 次の文章を、正しい表記に直しなさい。
  ある日の暮れ方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待って居た。
  雨は羅生門を包んで、遠くから、ざあっと言う音を集めて来る。
  一人の男が、猫の様に身を縮めて・・・
3 次の傍線のある<体言>の種類を答えなさい。
 a 赤みのさした顔。 b それがほしい。 c 今帰るところだ。 
 d 一人で行く。 e 「論語」は永遠のベストセラーだ。
4 次の動詞の自動詞に〇他動詞に[×]をつけ、それぞれ対応する語(自動詞なら他動詞、
 他動詞なら自動詞)を書きなさい。
 a 開ける  b 集まる  c 余す  d 川を流れる  e 山道を逃げる
5 次の語を、ア、可能動詞 イ、動詞+助動詞 ウ、どちらでもない、
 に分けなさい。
 a 妨げる  b 読める  c 表される  d 来れる  e 取れる
6 次の各文から<用言>を抜き出し、a 動詞、b 形容詞、c 形容動詞に分け
 記号で答え、それが<補助用言>ならその記号に〇をつけなさい。
 ア、天気が穏やかなら、今夜中に帰ってくる。
 イ、かれはそんな人間ではないから、安心しろ。
 ウ、色もきれいになったから、もう食べてもよいだろう。

 <解答と解説>
1、a 人格=人柄・人となり b 憧憬(ショウケイ・ドウケイ)=あこがれ 
c 頑健=健やか・つよい d 放浪=さすらい e 災禍=災い(ワザワイ)
 *文章を書く場合、漢語にするか和語にするかは、その音感や場面を考慮して選ぶとよい。

2、事→こと  居た→いた  言う→いう  来る→くる  様に→ように  
 *作家たちの表記はまちまちですが、一応現代表記の基準に従うのがいいのでは。

3、a 赤み=名詞(「み」は接尾語) b それ=代名詞(<こそあど言葉>)
  c ところ=形式名詞(場所を意味しないから) d 一人=数詞 e 論語=固有名詞
 *一人暮らし=普通名詞、一人びとり(各人)=副詞、数えられるのが数詞。


4、a 開ける[×](自動詞は「開く」) b 集まる〇(他動詞は「集める」) c 余す[×](余る)
  d 流れる〇(流す) e 逃げる〇(逃がす)*d eの~をに注意、《前項解説を参照》

5、アはc、イとオが可能動詞、ウは動詞「表す」の未然形「表さ」+可能の助動詞「れる」
  エは、「来る」という<カ変動詞>は可能動詞になれない。助動詞も「られる」がついて、
 「来られる」というのが正しい。

6、「穏やかなら」までが形容動詞(仮定形)、「帰っ」が動詞(「て」は助詞)、「くる」は
 補助用言の動詞(形式的な動詞です)、「安心しろ」は「安心する」という<複合サ変>の動詞
 (の命令形)、「きれいだ」は形容動詞(の終止形)、「食べ」は動詞。
 *なお、イの「ない」ウの「よい」はともに形容詞ですが、補助用言とされます。つまり、
 「ない」は本来の「無い」の意、「よい」は「善い」の意味がないから、漢字に置き換えられな
 いので補助的な形容詞とされますが、両者を分けない考えかたもあります。

<採点>正解は全部で40個、1つ1点として、35点以上で「優秀」、30点以上で「合格」としましょう。
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《解説》 [講座]

 <解説>
① <和語>とは、日本語、やまとことば、日本固有の言語。<漢語>とは、漢字、とくに音読の熟語。
② 名詞には、普通名詞・固有名詞・数詞のほか形式名詞がある。代名詞は別品詞とする。
③ <形式名詞>は、原則かな書きとする。例:こと・もの・ところ・ほう・ため・まま・うち・とき・はず・とおり
④ 同じく<形式動詞(補助動詞)>があり、かな書きとする。例:(~して)みる・(~して)いる・(~で)ある・ほかに、「いく」「くる」「あげる」「くれる」「もらう」「やる」「くださる」「いただく」「おく」「しまう」等々。
⑤ 同じく<形式形容詞(補助形容詞)>の例:(~て・で)ない(~て・で)よい
*これら③~⑤の形式語をかな書きにするのは、本来の意味が薄れているからです。また、直前の文節と合わせて1成分となります。したがって、形式というのです。

⑥ 動詞には活用の種類(未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形)のほかに、<自動詞><他動詞>の区別がある。「~が~する」のが自動詞、「~を~する」のが他動詞と見分けてもよいが、正確には、「動作の対象を必要とする」のが他動詞、必要としないのが自動詞、たとえば、ガラスを割るという場合、「割る」という動詞はガラスという対象があるので他動詞だが、ガラスが割れる、とした場合、「割れる」という動詞はそれ(ガラス)自体の動作なので自動詞となる。自動詞・他動詞は書き手の意図と関連して用いられるので、読み手もこの区別は軽視できないわけです。
*なお、「空を飛ぶ」の「空を」は対象ではなく場所(出発点・通過点)を示すので、「飛ぶ」は他動詞ではない。たとえ「鳥が飛ぶ」といっても、飛ぶは自動詞です。「が」と「を」だけで区別しないように。*送り仮名のつけ方も異なります。例:落ちる(自動詞)、落とす(他動詞)。
⑦ 「走れる」のように、~できるという意味をもつ動詞をとくに<可能動詞>と呼ぶことがあります。可能動詞は、動詞の<五段活用ー走る>に可能の助動詞「れる」がついて、音の変化を起こしてできたものですが、1単語の動詞となります。*したがって、五段活用以外の動詞(上一段の「見る」下一段の「出る」カ変の「来る」など)に「れる」をつけるのは<誤用>とされます。*
その場合、同じ助動詞の「られる」を用い2単語として可能を表します「」ー「見・られる」「出・られる」「来・られる」。

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二、ことばはかわる?ーいろいろな語法 [講座]

 <前回の答えおよび解説>
 レッスン1、読点をで「二重にし」で打つか「二重にして」で打つかで意味が異なります。読点をおろそかにしてはいけないということです。
 レッスン2、文はなるべく短めにという例です。「高原だった。」「冷たかった。しかし」と続けると分かり易いです。
 レッスン3、文体を統一すること。「ですか」(敬体)と「だ」(常体)を混在させない、文末の「だろう」(常体)を敬体にするなら「でしょう」。
 レッスン4、ア、(あなたは)「待つ」のだから<述語>という成分。イ、呼びかけや感動詞は<独立語>。ウ、「すいすいと」が「飛んでいる」を修飾(詳しくする)する<連用修飾語>、修飾される(うける)ほうが用言なら連用修飾語、体言なら連体修飾語。エ、「私は(主語)夏には(連用修飾語)旅行する(述語)」という意味をとらえること。オ、(それは)「ぼくです」という意味で<述語>です。
 レッスン5、a<複合語>は、「はだ」「寒い」、「青」い「空」、「見」「知らぬ」。b<接頭語>は、「こ」「きれい」、「み」「ほとけ」、「お」「宮」。c<接尾語>は、「静か」「さ」、「えら」「ぶる」、「お宮」「さん」、「秋」「らしい」。あとの「オオカミ」「よろこび」「真珠」は1語のことばです。《以上解答です》                 *つづく
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 第二章 言語編 表現のための12か条 その二/ことばはかわる?

<プロローグ> 次のア~オの各文には従来、誤りとされる言葉遣いが含まれる(下線部)が、これについて考えましょう。
ア、新しく輸入されたパンは、いつになったら食べれるのでしょうか。
 ポイント:「食べれる」は一部地方では昔から何ら問題なく使用されているが、全国的にも最近は、ほとんど疑問視されなくなりましたね。ただ、テレビのテロップ(主にNHK)では修正されて「食べられる」としています。文法的には誤りだからです(後半解説)。
イ、近頃の若者とかは言葉を知らないから、「自分的には」などという。
 ポイント:「~的」という言い方は便利?なものだから、やたらと使いますね。最近、「個人的には」という言葉が多発しています。「私は」となぜはっきり言えないのでしょうか。なお、文中の「~とか」は、並立の助詞だから、「AとかBとか」というときに使いましょう。
ウ、先日、私の娘が「きれいくない」と口にするのを聞いて、なにか変だなと思った。
 ポイント:これは「おもしろくない」「大きくない」などとの類推からでしょう。ある形容詞を否定するときに使いますが、「きれい」は「~い」ではなくて「きれいだ」という形容動詞だから、「きれいでない」が正しいのです。「嫌いくない」「好きくない」もだめ。
エ、「とてもおいしいです」というのはワンパターンの味覚感想です。
 ポイント:いつのまにか定着してしまった言葉遣いですから、おかしいと言うほうがおかしいかもしれませんが、貧弱な語彙(ごい)のなせるわざ。「けっして」や「ぜんぜん」と同様の否定を伴う副詞というのが本来です。「ぜんぜんよかった」と言われると、私などは耳を疑います。
オ、何かと耳障りなのが、「すごい」の連発。ああ、「耳障り」がいいなんて言わないでね。
 ポイント:「すごい上手です」「すごい疲れたよ」など、文法的(「すごく」が正しい)にも語彙的にも問題です。そのうち「すごくすごい」と言われそうで、気味が悪い。
(この項つづく)
  

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